2018年10月15日

「水」堂島リバーフォーラム



7月に大阪・堂島リバーフォーラムで開催された『千住博 & チームラボ コラボレーション展「水」』へ。
前の週に大きな水害があったばかりでテーマが生々しく感じられた。雨の後は猛暑が続き、その日も30℃を超える暑い日だった。
会場に入ると中は「水」の世界。暑さがすぅーっと和らぐ。

暗さに目が慣れてくると勢いよく流れる水の映像に囲まれていることに気づく。
うねりは海の波のようでもあるし川の流れのようでもある。
奥に入っていくと千住さんの滝が布に描かれて天井から吊るされている。

絶えず激しく流れるチームラボの水に対して、千住さんの水は薄い布がゆらゆら風に揺られて繊細で柔らかい印象。
動と静、剛と柔、デジタルと日本画
異質なものが邪魔し合わずに同じ空間にあった。
デジタルな表現は0と1の間がないので失われるものが多いと思っていたけど
技術が進んだ今の時代、0と1の間は小さくなってきているのかもしれない。
会場内はピアノの音が流れていた。鑑賞の邪魔をしないストーリーにならない音楽。

鑑賞後は千住博×姜尚中トークイベント
チームラボはアートなのかという問いに対して、千住氏は、芸術とは「カベをこわすもの」であり、"communication"であり、"imagination"。だからチームラボの仕事はもちろんアートであると。
今回のような機会ははじめてで、異質なもののコラボレーションということで自然と互いに尊敬し合ってできたのがあの空間だそう。

その後話は芸術とは美とはなにかという大きな話に。
千住氏によると、「美とは
それがなければ生きていけないものであり
生きることを応援するもの。
美しいと思うものは必要なもの。」
この言葉になんだか励まされた。

長年取り組んできた滝のモチーフは水の流れ、つまり時の流れを表しているそう。
その滝について、自分の描ける滝の最高傑作を描いてしまったので今は次のモチーフを探しているとのこと!
俄然その最高傑作の滝が見たくなる。  


Posted by u at 16:49Comments(0)

2018年09月19日

入院



訳あって入院することになり1週間
24時間点滴につながれひたすら横になっています
まだまだ先は長い

入院前の3週間も自宅安静生活だったので
約1ヶ月、まともに外出してません
今だったら外に出て、陽の光をあびて風のそよぎを感じるだけで幸せで涙が出るかもしれない

去年から体調を崩して天井を眺めている日が多い
そういう年頃なのかなんなのか
どんな変化が自分の中で起こっているのか
症状に対して解釈はいくらでもできるけど
本当のところは自分の身体のことなのによくわからない
身体がぐらぐらすると心も落ち着かない


行動が制限される生活といえば
もう10年も昔のこと
Vippasana瞑想の10日間を思い出す
那智勝浦の山奥のお寺で
話す読む書く一切のコミュニケーションを断って
朝から晩までひたすら瞑想

沈黙の10日を終えた後は、身体は軽く感覚はとても敏感になっていたので
情報量の多い普通の生活にくらくらした


おそらく2ヶ月程続くこの入院生活も
きっと後になれば必要な経験だったと
そう思える時がくる

  


Posted by u at 20:29Comments(0)

2018年02月12日

神戸市博物館




神戸市博物館で開催中のブロックバスター 「ボストン美術館の至宝展」最終日に行ってきました。
改装のためこの日以降館自体が来年秋まで閉館だそうで、常設展も観たかったのでぎりぎり間に合ってよかったです。
美術館でやる内容なので神戸市立の美術館だと思っていたら博物館なんですね。
建築は旧居留地らしい新古典様式で、入ると広い吹き抜けのホール。もともとは銀行だったそう。

企画展は大賑わい。
こういう人気の展示では1作品30秒くらいみて次に進むみたいな流れが自然とできることがありますよね。
自分はもうちょっとじっくり見たいのに長く立ち止まりすぎると流れを止めてるような気がしたり
逆にもういいやと思ってるのに次に進めなかったり、いまいち集中できないので苦手です。

今回とてもよかったのが
ドガ
1872頃, Ballet Dancer with Arm Crossed
Courtauld GalleryのWoman at the windowに似た雰囲気。未完の作品ですが、そこにまた想像の余地が生まれていて、ずっと見ていたくなるような魅力的な作品です。
ドガのこの朱色というか土っぽい赤が好きです。
ゴッホのルーラン夫妻を見ても思ったのですが、この絵のもつ人間臭さというかゆらぎのようなものはAIにはできないと思う。

モネ
1894, Rouan Catgedral, Facade
1885, Poppy Field in a Hallow near Giverny
モネの絵の絶妙な配色はその作品を前にしたとき、その人の網膜でうまい具合に完成されるようにできていて、見ていてとても心地よい。
印刷で再現するのはとても難しいと思います。でも部屋にかけたい。

オキーフ
1928, Calla Lily on Grey
不思議な絵です。作品の説明にもあったけど具象なのに抽象的

アンセル・アダムス
1960, Redwoods Bull Creek Flat, Nrthern California
1915頃, Side of White Barn, Bucks Country, Pennsylvania
平面的な独特の質感がおもしろい。景色の再現ではなく写真という技法を用いての表現

西洋美術の方が見ていておもしろいのは日本美術よりも一定量見ているからか
インプットの量の問題ならあとどれくらい見たら日本画や陶磁器がもっとおもしろくなるんだろう。

●ボストン美術館 Museum of Fine Arts, Boston
1870年設立、1876年開館
収蔵品45万点
年間来場者100万人

企画展とはうって変わってがらんと静かな常設展。
神戸の先史時代から現代までの歴史が出土品やパネルで紹介されていました。
地域の歴史が一望できる常設展は引っ越してきたばかりの人間にとっては有難たかったです。
どんな風に変わるのか2019年のリニューアルオープンが楽しみです。

  


Posted by u at 22:11Comments(0)artsmuseum/gallery神戸

2017年08月07日

好きな食べ物

今回のロンドン滞在はairbnbで見つけたQueen's
Parkのフラット。治安が心配だったので北か西で探した。行ったことないエリアだったけど静かでなかなか良いロケーションで、駅もバス停も近くて便利。ホストは南東部にあるもうひとつの家に行くからとキッチンもリビングも1人で自由に使えてとても快適だった。
着いたその日の夕ごはんはレバノン人がやっているマーケットで買ったフムス(ひよこ豆のペースト)とタブリ(パセリサラダ)。まさにこれが食べたかった。翌日食べたキヌアとレンズ豆のサラダ、ファラッフェルもおいしかった。売り切れでババガヌーシュ(ナスのペースト)が食べれなかったことが悔やまれる。レバノン料理はいつか絶対流行ると信じている。




滞在中はどうしても行きたかったオトレンギさんのカフェにも行けた。野菜をたくさん使った見た目も楽しいフュージョン料理は試す価値ありです。
ロンドンの食事はひどいと云われているけれど、探せば美味しいものもある。





  


Posted by u at 21:53Comments(0)London

2017年08月06日

Camino de Santiago

ゴールデンウィークにサンティアゴ巡礼の道を歩いた。
キリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼路はヨーロッパ各地からあるが、フランス・ピレネーから始まるフランス人の道が一番有名で巡礼者も多い。私と夫はスペイン・ガリシア地方のサリアという町から最後の120kmを歩いた。散歩は好きな方だったが、バックパック8kgを背負って1日20km歩くのは初めてだったので不安はあったが、全身筋肉痛でひーひー言いながらも無事5日でゴールできた。これから行く人がいたら荷物はとにかく最低限、トレッキングシューズとレインウェア、ポールは高くても自分に合った使いやすいものをおすすめしたい。

1日目 Sarria→Portmarin 23km
2日目 Portmarin→Palas de Rei 25km
3日目 Palas de Rei→Arzur 30km
4日目 Arzur→Pedrouzo 20km
5日目 Pedrouzo→Santiago de Compostella 20km

早朝出発して、途中バルで休憩しながら午後に目的地に到着。宿探し、シャワー、洗濯が済んだらレストランで食事をして翌日に備え早く寝るという歩くための生活。雨の多いガリシアは緑が豊かでユーカリの森のスーっとした感じが心地よかった。ゆっくりでも立ち止まっても抜かされてもいいからとにかく前に進む。まだまだ見たことがない景色が見たい。




  


Posted by u at 23:03Comments(0)travel

2017年08月05日

フィンランドサウナ

5月頭にフィンランドの友人家族を訪ねた。
彼らを訪ねるのは10年ぶり。ダブリン留学中、クリスマス休暇の滞在先を探していたときにHospitality
clubというサイトで知り合いお世話になった。ヘルシンキから電車で5時間程の人よりも動物の方が多い小さな村。前回は冬だったので初夏の今回はベリー狩りができるかもと期待していた。が、雪は降るし湖は氷っているし静岡人にとっては冬のよう。すこしだけ実をつけたリンゴンベリーがあったけど、ジャムを作れるくらい採れるのは7月頃だそう。
フィンランドといえばサウナ。友人宅には屋内の電気サウナと、外に丸太小屋でできたスチームサウナの2種類ある。サウナはフィンランド人にとって大事なコミュニケーションの場で、友人家族は皆で一緒に入って楽しむそう。
今回は外の方を暖めてもらい女性陣からサウナへ。暑くなったら外に出てリンゴ酒を飲みながら涼む。近くに家はなく、見渡す限り牧草地。水路近くには白鳥たちが集まってパートナーを探している。遠くには時おり子鹿のような影。東の空には月がだんだんと登っていく。静かで、平和で本当に幸せな時間だった。


  


Posted by u at 21:48Comments(0)travel

2017年08月04日

沖縄県立博物館美術館




沖縄県立博物館・美術館はモノレールおもろまち駅から歩いて10分弱の距離にある。
10分歩くといっても夏の那覇でのそれは静岡とは訳が違う。
強い日差しと暑さでたどり着くころには汗がたらたら。
車社会の沖縄では徒歩よりも車での来場者の方が多いのかもしれない。自転車に乗る人も少ない。

2007年開館のこのミュージアム。建物は四角くていかつい。ジッグラトを連想させるような、よせつけない感じの威圧感がある。
建物が無機質なので外のアプローチにある作品が目立っていてよかった。
中に入ると半分は美術館、半分は博物館でエントランスホールを共有している。
グラスゴーのケルヴィングローブミュージアムを思い出す。あそこも美術館と博物館が一緒になっていて、エントランスホールではオルガンコンサートをしていた。説明パネルや展示方法など子ども向けアプローチが充実していて、良い美術館だなあと思ったのでよく覚えている。

美術館は沖縄を中心としたアジアの美術作品を収集しており、ベトナム美術、安次富長昭コレクションの収蔵品展を観た。中国、日本、アメリカとの関係のなかで美術はどんな位置づけだったんだろう。沖縄というとどうしても実演芸術の印象の方が強い。人気がなく静かな収蔵品展と違ってチームラボの企画展は親子連れで賑わっていた。
博物館の常設展では先史時代から現代までの沖縄の歴史を展示していた。琉球王国は500年も続いたのか。台湾とこんなに近いのか。
旅の最後にその土地の博物館に行くとその土地の成り立ちや民俗を知り、経験をより定着させることができる。  


Posted by u at 12:15Comments(0)artstravelmuseum/gallery

2017年08月03日

3年ぶりのロンドン



卒業以来3年ぶりにロンドンを訪れた。
日本に帰ってからは遠い遠い存在になってしまったロンドン。テロや事件が大きく報道され、すこし不安もあったけど時間のある今しかいけないと勢いでチケットを買い、特に計画も立てずに出かけた。
戻ってみると、全然変わっていない。ずっとここにいたような、3年の時間なんてなかったような不思議な感覚。当たり前のようにスーパーで買い物をして、懐かしい食事をした。地図がなくても歩けるし、どこにいけば自分の好きなものが観れるかわかる。2年間で得た財産は大きい。
ありがたいことに毎日友達にも会えた。話をしていたらあっという間に時間が過ぎた。
長い間会っていなくてもすぐにわかり合える友達がいる、自分の家のように思える場所がある。特別な街。
  


Posted by u at 20:30Comments(0)Londontravel

2017年08月02日

沖縄児童演劇祭

演劇祭では国内外6作品を観ることができた。

一番のヒットはデンマーク・Aaben DansのAGAIN

http://abendans.dk/igen/?lang=en

演者が外に出てきてひとりひとり糸を渡していき、1つの糸に連なってみんなで会場に入る。絨毯がひかれた四角のステージをぐるりと囲むように観客が座る。2人の男女がくっついたり離れたりしながらストーリーが流れていく。男の人はダイナミックで女の人は軽やかで、なめらかな絡み合う動き、でこぼこが美しい。
動きに合わせて光、音楽が進む。
身体で会話しているような、こういう身体表現が好きだ。
ストーリーは30分程で終わり、その後は糸玉で遊ぶ時間。0歳の子たちも30分よく集中していた。
こどもに伝わるものは、大人も救われる。みんな昔はこどもだった。
音や光を初めて感じた頃はきっと驚きでいっぱいで一生懸命処理していたんだと思う。
乳児の記憶には残らないのかもしれないけど、普段とは違う種類の情報を浴びることはその子の未来にとってとても大事で、大人がすべき意義のあることだと信じたい。
  


Posted by u at 21:30Comments(0)arts

2017年08月01日

久高島

那覇での仕事の後、久高島に行きました。

何年か前に友人からこの島の話を初めて聞き、その後IZU Photo Museumで観た比嘉康雄さんの写真で沖縄独特の民俗を知り、
沖縄の祈りに興味がありました。
仕事の後どれくらい体力が残っているかもわからなかったので、なにも下調べしておらず沖縄の地理もよくわかっていなかったのです
が、調べてみたら久高島は南部にあり那覇から日帰りも可能ということでいくことにしました。
フェスタで知り合った友人に車をだしてもらいニライカナナイ橋を通って斎場御獄へ。すーっと気持ちの良い風が通るところでした。
祈りの営みのある場所が好きです。空気がぴんとしていて、程よい緊張感と静けさが心地よいです。
斎場うたき近くの港から久高島まで約30分。海が青い。浅いところは青緑で透き通って底が見える。同じ海でもこんなに違うのか。
自転車を借りてイシキ浜へ。珊瑚の浜ってこういうことなのか。砂じゃないのか。おもしろい形の珊瑚のかけら。
波は静かで遠くが陽に照らされてキラキラしてる。ポーツマスでぼーっと見ていた海を思い出す。

白い一本道。台風に強い熱帯の植物。植生が全く違うので外国に来たよう。
暑いので一時間が限界。

海は泳ぐより見る方が良い。




とってもとってもきれいだけど、なんだかやりきれない
沖縄の特殊な構造を知り、複雑な気持ちになったはじめての沖縄滞在でした
  


Posted by u at 18:29Comments(0)travel