2014年01月12日

コラー、ミュンター、シェンデル

最近気になった作品

キャプションの名前だけで性別はわからなかったけど
調べてみたらみんな女性アーティストだった

まずナショナルギャラリーの企画展
Facing The Modern, The Portrait in Vienna 1900, National Gallery
オーストリアハンガリー帝国末期 政治体制の変化 モダニズム 都市文化 移民 カフェ ブルジョワ 
第一次世界大戦 ナショナリズム ユダヤ排斥の高まり 帝国解体
そんな19世紀末から20世紀初めウィーンで活躍したアーティストが描くポートレイト
肖像画はあまり興味なかったのですが
アーティストの自画像というセクションで、セルフポートレイトはセルフイメージのプロモーション(どう売り込みたいか)と考えてみたらおもしろくなった
フェイスブックのプロフィール写真みたいな
自分が人からどうみられたいかを反映している

Bronica Koller
コラー、ミュンター、シェンデル


'Silvia Koller with a Bird Cage' 1907-08, Oil on canvas, 100 × 100 cm
娘のシルビアを描いている
ワンピースの赤に惹かれた
鳥はあまり好きではありません

コラー、ミュンター、シェンデル


'Nude Portrait of Marietta' 1907, Oil on canvas, 107.5 x 148.5 cm
このヌードの表情がいい
同時代のクリムトの影響もあるけど官能的な印象はない
クリムトの描く女性は女神のようで魅惑的で美しい
コラーのこの女性はそれまで男性の画家によって描かれてきたヴィーナスのような女性像ではなくて
もっと自然というか妄想願望理想?がないそれでもどこか神聖な美しさがある


次はサマセットハウス・コートールドギャラリー
コラー、ミュンター、シェンデル


Gabriele Munter
’Portrait of a young women in a large hat’ 1909
この強い不自然な色
輪郭線とべたーって塗ってあって平面的なところ
自信ありげな表情
ドイツ表現主義の画家だそう
隣には初期のカンディンスキーがあった


そしてテートモダンの企画展ミラシェンデル(1919-88)
コラー、ミュンター、シェンデル



ここ最近で一番のヒット

スイスに生まれイタリアで育ちミラノで哲学を学び
多くのユダヤ人がそうだったように国を追われ移民となり
戦後ブラジル・サンパウロで制作活動を始める

一貫して問い続けている哲学的なテーマ(存在とか認識とか無とか有とか)があって
時代順に展示された作品からその表現方法を模索してきた過程がみえる

1949年にブラジルに渡ってから活動を始め
初期の作品はキリコやクレーの影響を受けたとされる
その後も同時代の芸術運動と関わりながら自分のアプローチを探す
戦後発展していくモダンアートのエッセンスを理解しながら
でも特定のグループに属さず
モダンアートがアートのためのアートになっていくときに
あくまで表現の方法として抽象や具体をとりいれる
いまみてもおもしろく感じられるのはそのせいかもしれない

それでも1960年代まではそんなに驚かなかった
もちろんその時代がなければ後の作品は生まれないし
展示室を逆にみていくと初期の絵に芽生えがある 文字を入れるところとか和紙を使うところとか
1964年のmonotypeシリーズあたりからスタイルが確立されていく
ペインティング(平面)からオブジェクト(立体)になっていく
半透明の和紙 文字 ガラス

コンセプチュアといわれる作品で概念はたくさんつまってるけど正直みていておもしろくないものある
でもシェンデルの作品は静謐で美しい
非対称で間があるのもいい
色は少ない 
和紙が劣化で黄ばんできてしまうのが気になった

あと一番不思議に思ったのはブラジルっぽさ(単純なイメージだけどサンバとかカラフルな色とか)がない
その場所にいたら反映されそうなのに
ブラジルの政治に影響されたという作品もあったけど
なんていうかヨーロッパのモダニズムの箱庭をもってきてそのなかに住んでたみたい

ぐだぐだ書いたけどこれ見てないひとにはなんのことやらですよね


コラーもミュンターも印象派、ポスト印象派からの影響があるとする
印象派の構図や平面的な描き方がいいなと思う
その印象派の特徴は日本の浮世絵の影響を受けている
シェンデルは易経や禅といった東洋思想を意識している
和紙も使っている
そうすると結局私がいいなあと思うのはどこか日本につながる要素があるものなのかな
そんな単純にはいえないか

どの作品も画像だとぱっとしないのがかなしい
ミュンター以外は借り物だから次にどこで遭遇できるかわからない
そういうライブ感があるのもいいのかも

去年は常設展にいくことが多かったけど
今年はもっと積極的に企画展にいってみよう


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